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第51回ニャンキーの「毛のない生活」

イリーナと過ごしたロシアから帰国した翌日、わが家では<ネコの毛刈り>という一大イベントが待ち受けていた。ニャンキーは、私が六本木に住んでいた編集者時代に、六本木駅前で衝動買いしたネコだ。ネコに15万円も使ったことに、私の両親は「ミルコはとう...
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第50回ダーチャに泊まる⑤

私が目覚めて二時間経ったが、イリーナはまだ起きてこない。私は大きなカップでチャイを(日本では飲まないミルクを入れて)たっぷり飲んで、出国前に私をインタビューしてくれた雑誌の担当者に手紙を書いた。イリーナの猫、クリスが何度か私の顔を見に近寄っ...
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第49回ダーチャに泊まる④

三日ぶりに町へ戻った。ホテルで洗濯をし、洗髪をし、ビデオカメラも充電をして、再びワロージャの車が迎えに来るまで、大忙しだった。こちらに来てから初めての雨が降り、ホテルのレストランで遅い朝食を摂る。レストランのテーブルでWi-Fiの電波をキャ...
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第48回ダーチャに泊まる③

イリーナの案内で街へ出て、ビジネスランチタイムのカフェに入った。天井が高く、店内は広い。内装とテーブルや椅子はすべて木造だった。ビュッフェ形式の学食のように、お盆を持って並んで進む。ロシア料理によく出る蕎麦の実=グレーチカを私は好きで、ロシ...
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第47回ダーチャに泊まる②

涙を出し切って落ち着きを取り戻すと、ますます自分の不甲斐なさに落ち込んだ。イリーナに、呆れられたにちがいない。そうなってくるともうこれ以上、ここにいてもイリーナたちに迷惑をかけるだけだろう。しかしすぐさま日本へ帰ることはできない。日本への飛...
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第46回ダーチャに泊まる①

ダーチャへ行くことになった。私にとってはたいへん急な話だった。ロシアの7月は陽が長い。5時に仕事が終わったあとも、遠出を楽しむことができる。その日のお勤めを終えたイリーナは、ワロージャの運転で私を迎えにきた。郊外へ出てからしばらく山道を走っ...
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第45回「シベリア出兵」とチタ

チタという町に住む研究者のイリーナさんに会うため、私はハイラルから国境を越えた。彼女の本に私はイルクーツク大学図書館で出会い、彼女を訪ねることになったわけだが、そのくわしいいきさつは、もう少しあとで書く。イリーナ氏との面会について、事前交渉...
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第44回非常勤講師の夏休み

「前期」の授業を終えた直後、たった一人で日本を脱出した私は、北京空港でもみくちゃにされていた。まだ朝の5時だというのに人、人、人・・・あっちこっちからものすごい数の中国人が押し寄せてきて、身動きがとれない。人数が多いだけでなく、彼らはたいへ...
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第43回ロシア人には「ダーチャ」がある

ロシア人の友達もたくさんできて、家に招かれるなどするうち、私は極東を含むこのシベリアという地域の人びととその暮らしに、ますます惹かれていく。かつて行き過ぎた資本主義にまみれていた私から見ると、彼らは地に足がついていた。よけいな贅沢をしない。...
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第42回ロシア極東の村・リドガの製材工場へ

商社時代の父の後輩であった沖田金次郎さんに、リドガ(コムソモリスク・ナ・アムーレ方面)というロシア極東の村へ、連れて行ってもらったことがある。幼なじみの早苗ちゃんも、一緒だった。沖田さんは二十年ほど前に総合商社のニチメン(現・双日)から独立...