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帰ってきたダッタン人②コサックのエルマーク

「コサックのエルマーク」という人が、シベリアを最初に征服した人として、ロシア・シベリア史にかならず名前が出てくる。 エルマークは、タタール人が支配していたシビル汗国(シベリア汗国)の軍隊を破り、ロシア人によるシベリア支配の第一歩をひらいた人...
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帰ってきたダッタン人①ロシア人のシベリア進出

かつて「ノブゴロド」という国が、あったという。 いまのロシア北西部あたり。これが、ロシア人のつくった最初の国だといわれている(862年)。 「ノブゴロド」のノブはNEW(ロシア語でノーヴィ)、ゴロドは町(ロシア語でゴーラダ)。つまり「新しい...
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第98回還暦クラス会(1)

還暦である。 そのため、クラス会の話が、いくつか舞い込んできている。 いまはSNSがあって、昔の友人知人とつながることはカンタンなのだ・・・と私が理解したのはここ数年のことだ。 SNSにみんなが熱を上げ始めた頃、私はガン闘病をして、以降はロ...
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第97回ダッタン人の踊り(19)ダッタン人の踊りの終わり

バンナイ先輩の訃報を受けて、私はすっかりやる気をなくしていた。 この一年ほど、何かに突き動かされるようにこれを書いてきたが、ここへきて、止まる。 バンナイ先輩の不在。これが私を打ちのめしているのであれば、じつに思いがけないことだが、まあこう...
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第96回ダッタン人の踊り(18)新しいクラリネットを買う

バンナイ先輩の訃報をきいたのは、前回の原稿を上げた直後だった。 ショックで口もきけないくらい、おどろいた。 ずっと会っていない人だけれど、もう会えないなんて悲しすぎる。 いま書いているこの原稿をいつかまとめて、バンナイ先輩に読んでほしかった...
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第95回ダッタン人の踊り(17)リードミスというミス――エリクソンの「序曲祝典」

「新冷戦」とよばれる時代に入っていた。 前年の終わりにソ連がアフガニスタンに侵攻、それに対しアメリカが報復介入。かわいいミーシャがマスコットのモスクワ=オリンピックに西側諸国が軒並み不参加を表明したというその夏、私たちは初めての「コンクール...
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第94回ダッタン人の踊り(16)リード楽器という楽器

先だって朝日新聞の短期掲載で「佐治薫子とジュニアオーケストラ」というコーナーがあった。そこに、こんな記事。 ハーモニカとアコーディオンは「リード楽器」と呼ばれる。ハーモニカは息、アコーディオンは蛇腹のふいごで空気を送りこみ、リードという真鍮...
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第93回ダッタン人の踊り(15)初めての独奏――春の歌(メンデルスゾーン)

春休みのある日、Zに呼ばれた。 Zとは、くりかえしになるが、わが中学のブラスバンド部創設者で顧問の横山乙和、「乙」の字から、生徒たちにゼットと呼ばれていた理科の横山先生のことだ。 私やコジマ君は中学三年生になって、もうじき新・一年生部員を迎...
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第92回ダッタン人の踊り(14)男子の時間 ――祝典行進曲

安くて質の良い日本製品が海外へ流れ、高い評価を得て、どんどん売れていった。 貿易黒字とともにジャパンマネーの地位も高まっていき、円相場は1ドル290円から上昇しはじめ、78年10月には1ドル170円に。 80年代に突入すると、自動車生産台数...
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第91回ダッタン人の踊り(13)シングル・リップとダブル・リップ

私はその日をイメージしてみた。 ほんとうにその日が、やってくるのだろうか? 長らくあの場所から離れていた私には、なんだか信じられない話だった。 港区のビッグバンドに、私は二十代の終わりから在籍していた。 2013年にそのバンドを去って、以降...