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第71回マラッカ王国のナゾ(3)大阪編

久しぶりに、大阪へ行った。 前回は拙著『バブル』刊行のころ、朝日放送の「おはようパーソナリティ」に出演させていただいたのだった。そのときの話を私は光文社「本が好き。」の連載に書いているが、当時パーソナリティの道上洋三さんと自分とのあいだに透...
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第70回マラッカ王国のナゾ(2)ライスロード(稲の道)

マラッカ海峡は、東西交通の十字路だった。 東の中国と西のインドをむすぶ重要な交通路であったにもかかわらず、このあたりの古代史はほとんど文字に残されていない、研究者泣かせの地域のようだ。そもそも原史料がとぼしいうえ、16世紀以降の帝国列強によ...
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第69回マラッカ王国のナゾ(1)

私の滞在したシンガポールは、マレー半島の南端に位置する小さな国だ。 国家としての歴史は浅い。1965年8月に独立。それまではマレーシアの一部だった。 資源も水もなく人も少なかったシンガポールは、海外とつながることによって発展を遂げてきた。ヨ...
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第68回シンガポールにホームステイ3

窓から外をみる。 いっせいに飛び立つ鳥の群。 気持のよい朝。きのうよりさらに疲れが取れている。 体調よし、気分おだやか。気候もおだやか。 暑すぎない、冬のシンガポール、気に入った。 昨夜はカズミちゃんとショーンの仕事終わりで、飲茶の店「Ti...
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第67回続・シンガポールにホームステイ

ふたたびシンガポールへ行くことになった。 前回の滞在は2013年の春。その年の終わりから、私は一冊の本を書くために引きこもり生活に突入。取材以外では、ほとんど出かけることをしなくなっていた。 久しぶりの南方へ、飛行機で行くなんて緊張した。 ...
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第66回シンガポールにホームステイ

シンガポールへ初めて行ったのは、会社をやめて、闘病をへて、三年過ぎたころである。 出版社勤務時代には縁のなかったシンガポールへ、何度か行くことになった。 一度目はシンガポールに住んでいた中学校の同級生・オトちゃんと、その後は単身で渡航した。...
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第65回非常勤講師の終わり

「企画書を出した人から、今日は終わっていいよ」 ノートとペンケースを仕舞って、リュックを肩に掛けながら教室から出て行こうとする子たち、このまままっすぐ帰るのかと思いきや、きくとほとんどの生徒がこのあとアイスを食べに行くのだという。なんだそり...
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第64回雑誌の付録、返品の山

「雑誌が返本されると、付録をぜんぶ取って、すべて再生にまわします」 と、富澤の取締役・伊福さんが解説しながら工場内を案内してくださる。 恐竜のそばから離れると、今度は小さな山が見えた。 一見、ゴミの山だが、近づいてみたら、雑誌の付録の山だっ...
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第63回本を断裁する「死の工場」

出版社を辞めて闘病後、病み上がりだった頃の私は、趣味であったジャズや吹奏楽のコラム、CDのライナーノーツなどの仕事をいただいて、ポチポチと書いて暮らしていた。 その一つに、ジャズ愛好者のためのウェブサイト「KOBEjazz.jp」の原稿があ...
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第62回出版のまち・さいたまの出版倉庫

私たちを乗せたクルマはみずほ台駅から遠ざかり、のどかな風景の中を通り抜けて着いた場所は広大な敷地だった。「河出興産」に到着した。 この近辺はあらゆる出版社が倉庫を置いている、出版のまちだ。 巨大な建物があちこちに、おそらくぜんぶ出版倉庫であ...