ファーロード

第17回タイガでデート

夢を見ないのは、ほんとうに久しぶりだった。夢を見ずに目が醒めて、自分のしたことが、信じられないほどの驚きをもってたちのぼってくる。私はビキン川のほとりの、ほぼ垂直に切り立った山に登った。とうとうクロテンの森に入ったのである。ビキン川を下流へ...
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第16回生き物たちの大量死

かつて多くの日本人が海を渡った。ある人は仕事を求めて。ある人は戦争をしに。戦争の悲惨さが語られるとき、つねに人間が主役であるけれど、戦争では人間だけでなく無数の生き物が傷つき、死んでいる。<戦争の世紀>であった20世紀には、クロテンはじめ毛...
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第15回笑わないロシア人

私はクロテン村で数日を過ごした。何もすることがないので、天気のいい日は外に出る。ぶらり散歩をすると、同じようにぶらり散歩している村人に出会う。ここで会う人会う人、初めてな気がしない。どこかで会ったようで、なつかしい。日本人とウデヘ人は、大昔...
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第14回殺しながら生きる③

「自分も食われて糞になる。でも自分が生きてる間は、食わせてもらう。それが自然の中において、人間という生き物と、人間が生きるために関わる他の種の生命体とが結ぶ関係です。お互いに生かし合う関係のなかから、殺すという行為が出てくる。殺すことは生き...
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第13回殺しながら生きる②

アポはちゃんととれていなかった。半ば私が押しかける格好となった。田口洋美さんが教鞭を執られているという東北芸術工科大学、この大学の名前を、私はなかなか覚えられなかった。何度もメモを開き、行き先を確認する。田口さんの著作にひと通り目を通して、...
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第12回殺しながら生きる①

ウサギは淋しいと死んでしまう。猫は好奇心で死んでしまう。マグロは止まると死んでしまう。生き物って、いとおしいと思う。初心にかえって、クロテンについて考えてみる。犬や猫のような愛玩動物でもない、牛や馬のように働かされるわけでもない、人間に食べ...
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第11回クロテン人気の終わり②

ソ連の崩壊、経済の自由化にともなって、クロテン人気は落ちていく。ヨーロッパや中国から格安の養殖ミンクが流入し、価格は暴落した。インフレによって狩猟に必要な銃や弾など用具価格も高騰、さらに、欧米諸国での動物愛護運動の高まり、また化学繊維の発達...
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第10回 クロテン人気の終わり①

「江戸時代の記録を見ると、日本はかなりクロテンを輸出しています。本州にクロテンはいませんが、北海道と樺太にいますからね、アイヌが獲ってきたクロテンを集めてきて、それをサンタン人に売っていた。江戸幕府がかかわったクロテンは、アムールから中国へ...
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第9回 サンタン人のクロテン交易③

ロシアでコサックのエルマーク(第2回「ロシアとクロテン」参照)がシベリア遠征をしていた頃、中国がどうしていたかというと、時代は「明」の後期、国は傾き始めていた。永楽帝の時代には綿織物の生産など産業が発達し、江南・蘇州が流通経済の中心地となっ...
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第8回 サンタン人のクロテン交易②

「みんぱく」(国立民族博物館)の佐々木教授にアポをとり、インタビューの了解を得た私は、大阪・千里を目指した。2月半ばの午後6時。陽はとうに暮れて、外気は冷えている。万博記念公園駅に降り立つと、高架の向こうにライトアップされた「太陽の塔」が浮...