ファーロード

第7回 サンタン人のクロテン交易①

国を越えて人々が文物を交換するグルグル・ポイントが、古来より世界のあっちこっちにあった。その一つに、18~19世紀にわが国の北方で栄えた、「サンタン」がある。サンタンとは現在のロシア極東のアムール川下流域とサハリン(樺太)あたりの地域で、そ...
ファーロード

第6回 クロテン村の住人

ガタガタ道を走ること数時間、<森の民・ウデヘ>の住む村に到着する頃には、全身が壊れそうになっていた。乗り物酔いはピークに向かおうとしていた。手足の先が冷たくなってきた。朦朧とした意識の中で、ここに至る経緯を振り返ってみる。ただひたすら、何か...
ファーロード

第5回 タイガの一滴

私たちは黄みどり色のエスセブン(S7)に乗って、ハバロフスクへ向かった。成田から飛行機で2時間半も飛べば着くこの地は、かつて清朝のものだった。当時の清国と帝政ロシアのあいだに交わされた愛琿条約(1858)と北京条約(1860)、この二つの条...
ファーロード

第4回 毛のないクロテン

毛を剥ぎ取られた状態のクロテンを見たときのショックは、忘れられない。<毛のない>クロテンは、細く、小さな塊となって、真っ白な雪の上に横たわっていた。紅い肉が、痛々しい。毛のないクロテンには、もう誰も用がない。人間はフサフサの毛皮だけが欲しい...
ファーロード

第3回 罠にかかったクロテン

クロテンを追って、私の旅は始まった。第一の旅では<ロシアのアマゾン>と呼ばれるビキン川流域を訪れた。ロシア極東にひろがる、タイガの森である。その村で、いまもクロテン猟をする猟師に、私は会えた。本稿の扉に掲げたクロテン写真は、彼からいただいた...
ファーロード

第2回 ロシアとクロテン

地球の北半分を覆うように広がる、現在のロシアという国。この広範な国土を、ロシア人が持つに至ったその背景には、経済動物・クロテンの存在があった。ロシア平原の北方、シベリアの森林(タイガ)地帯に棲んでいた毛皮獣・クロテン。そこでのびのび生きてい...
ファーロード

第1回 クロテンを追って

クロテンの話を、私は本に書いたことがある。「え? クロテンってなんですか?」みんなそう聞くのだが、クロテンはクロテンである。クロテンは、古来よりヨーロッパ・ロシアで商品としての毛皮を狙われてきた小動物だ。「やわらかい金」「走るダイヤ」と呼ば...