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グルグル講義

第61回本は死ぬのか生きるのか?

「10万部です」と謳われた本が、「10万部売れた」のではなく「10万部刷った」であることは、すでに多くの人の知るところだと思う。 「刷った」だけで「売れている」とはかぎらない。 10万部刷ったが半分も売れていないということだって...
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第60回元編集者・山口ミルコの編集講義「本の一生」

会社をやめて、出版業界のサイクルから抜け出た私は、考えた。 私はすでに本の送り手ではない。 本を受け取る側、である。と同時に、無職になった。本の買い方、も変わった。新刊本にこだわらなくなったし、買うときには「この本にお金を払って...
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第59回「ひよこパソコン教室」に通う

講義タイトルは、「編集の現場」になった。 「編集の現場」をお伝えしながら、「本の一生」をたどるという、自分なりの裏テーマを、私は掲げた。本の廃棄工場から出発して、本の倉庫や印刷所などをめぐり、グルグルっと「本の一生」を追いかけ、学生た...
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第58回非常勤講師になる

「うちの大学にぜひ来てほしい」 と、宮﨑教授に誘われた。 オスカー・ワイルドに引き合わされた出会いから、まもなくのことだった。 大学1年生から4年生までの全学年で、メディアの仕事に興味のある学生たちに編集講義を、とのご用命...
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第57回オスカー・ワイルド

話は私がロシア語学習に励んでいたころへ、さかのぼる。 ある日、アートディレクターの櫻井浩さんから連絡がきた。 「ミルコさんさぁ~、また編集の仕事、頼める? 芝居のパンフなんだけど・・・」 フジテレビ制作の舞台『ドリアン・グレイの肖...
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第56回アイヌ「送り」の儀式と美流渡

しばらくクルマを走らせると、青く大きな看板が出た。 「ぎゃあ、あれがミルト?」 <美流渡> と書かれた文字が、目にとびこんできた。 美流渡はこっちですよ、と道案内されている標識を見て、私たちは盛り上がった。 あんな字を書くんだ~、...
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第55回「もっと、もっと」の罪

いつの時代にも懸命に働いた人たちがいた。 その人びとは、ただひたすら目の前の仕事にまっしぐらに取り組んでいたはずである。 一生懸命、やっていただけ。それなのに、情熱をもって仕事をしていたその日々が、いつしか自分自身の身体をむしばんでいた...
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第54回ミルコ、ミルト(美流渡)へ行く②

北海道の道は、広い。ロシアのよう。 遠くにゆったりと連なる山々に向かって、えんえん続く広い道を、ぐんぐん進んだ。 道はあっちゃんにとって慣れたもののように見えた。そしてしばらく行くと、こう言い出した。 「このへんの病院に、私、入院して...
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第53回ミルコ、ミルト(美流渡)へ行く①

芹澤君の家では、巣立っていった娘の部屋が空いていた。 そこを使わせてもらう。 部屋に入ると、ベッドがあるのに、その真横にマットレスも敷かれている。 「寝心地のいいほうを使ってね」 と、ホストマザーのあっちゃん。 「じゃあ、...
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第52回非常勤講師の夏休み・後半へ

毛の伸びに比例して、ニャンキーはしだいに元気を取り戻し、なんだか以前より若返った。 毛刈り直後はナメクジのようだったが、またネコになってきた。 目の輝きが増して、顔つきが愛らしくなった。 フレンドリーになり、性格まで明るくなったみたい...
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