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第87回ダッタン人の踊り(9)超能力者の予言 ~オデッセイ序曲②

私には、子どもがいない。 大学を卒業して就職して以降、ずっと同じ会社ではないが、いわゆる「お勤め」をしてきた。出版社の編集者だったので、一般的なサラリーマンのライフスタイルではなかったけれど、とにかく仕事が好きで、働き詰めの毎日を送っていた...
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第86回ダッタン人の踊り(8)女子のたたかい ~オデッセイ序曲①

ベニー・グッドマンやグレン・ミラーの時代にはビッグバンドの中心であり華であったクラリネットは、バンドの進化の過程でサックスにその座を奪われる。しかし現在でも、サックスの人に、あれを吹け、これを吹け、と持ち替え指示のあるアレンジは多いし、バン...
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第85回ダッタン人の踊り(7)ソロを吹きたい! ~ポンセ・デ・レオン序曲~

オクターブキーというものが、サックスにもフルートにも、ある。 左親指でそれを押すと、音が一オクターブ(12音)上がる。 低い「ミ」を吹いて、それにオクターブキーを加えると、高い「ミ」になる。 カンタンだ。 それが、クラリネットの場合、そうな...
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第84回ダッタン人の踊り(6)吹奏楽部はこわい? ~バンドジャーナル付録・小フーガ・ト短調

先日、とある仕事で首都圏の中学校を訪問した。 住宅街のなかにある、生徒数500人くらいの学校である。 そこで話をしていたときのこと、「吹奏楽部」が話題にのぼった。 ちょうどこれを書いていることもあり、自分が中高時代、吹奏楽に熱中していたこと...
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第83回ダッタン人の踊り(5)2ndクラリネット、デビュー ~士官候補生

ブラスバンド部の旗揚げは中学一年の秋ごろで、冬には曲を吹いていたと思われる。 ということは、そのころにはクラリネット最初にして最大の難関――「ラ(A)からシ(B)への修業」というものがあるのだが、それを克服していたことになる。クラリネットの...
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第82回ダッタン人の踊り(4)はじめての合奏 ~プリーズ・ミスター・ポストマン

固定相場制から変動相場制へ移行して数年、景気は乱れながらも上昇へ向かい、対ドル円相場が戦後最高値を記録(1978・昭和53年1月、1$=237,9円)、カラオケ・ファミレス・ディスコがブームになりはじめ、バブルの前兆が感じられる時代に突入し...
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第81回ダッタン人の踊り(3)ロングトーンと楽器の手入れ

私は早く合奏がしたかった。 そのためには、まず楽器を鳴らすことができなければ。 5つの黒い塊を繋げたあとに、先端にリードを付けた歌口の部分を咥え、息を吹き込んでみる。 「ぶぉ~」という、鈍い音が出た。 幼い頃からベニーの音に馴染んでいた私に...
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第80回ダッタン人の踊り(2)クラリネットとの出会い

わが中学(我孫子市立久寺家中学校)にブラスバンド部が発足するとのうわさをきいたのは、合唱部に入ってしばらく経ったある日のことだった。 新しく赴任してきた横山乙和おとかず先生がメンバーを集めるという。横山先生――乙和(おとかず)という名前から...
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第79回ダッタン人の踊り(1)吹奏楽との出会い

ダッタン人の話の前に、ここで私と吹奏楽との出会いについて、少し書いておこうと思う。 少し、と言いながら、けっこうな長さになってしまうかもしれない。 というのもこの件は自分そのもののようなところがあるからだ。 中学2年で、クラリネットと出会う...
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第78回マラッカ王国のナゾ(10)永楽帝の蒙古親征

1511年に砲弾でマラッカを襲ったポルトガル人が、いち早くアジアに進出。アジア東方地域につぎつぎ来航し、やがてマカオに拠点を築くと、阿片や香料(竜涎香=マッコウクジラの排泄物)などを持ち込んで、それらは大陸へと流れる。かつての鄭和の道は、海...